高灌流の改善は潜在的な視神経脊髄炎スペクラム障害の治療マーカーになりえる(Diagnostics (Basel). 2025, 15(21), 2723)
難病の一つである視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)は再発を繰り返す中枢神経系脱髄性疾患です。活動性マーカーを評価する画像診断マーカーは造影を用いたMRIが一般的です。しかし、造影剤はアレルギー、喘息、腎機能障害などの患者には用いることが困難であり、症例報告の患者も喘息があったため使用が制限されました。
我々の報告では2つのユニークな点がありました。橋に孤立性の巨大脱髄性病変(腫瘤形成性脱髄性病変)であったこと、それがMRIで血流を評価するASLで高灌流を示していたことです。患者はステロイドパルス治療が行われましたが、ASL高灌流所見は臨床症状と共に、経時的に改善していきました。
ASLで高灌流を示した病変は潜在的なNMOSDの治療マーカーになりえると考えられ、Diagnostics(IF=3.3)に掲載されました。
今回の知見は、NMOSDの病態評価と治療戦略の新たな指針となり得る可能性を示唆します。
本学は様々な難病の研究に力を入れており、この報告が医療の発展に寄与することを願っています。
https://www.mdpi.com/2075-4418/15/21/2723