脾摘後患者における侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の重症化により髄膜炎、化膿性関節炎、眼内炎を来した1例(IDCases.2026,45,e02698)

非ワクチン搭載型である血清型23B肺炎球菌による侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)により髄膜炎、化膿性関節炎、眼内炎を来した1例について、IDCases(IF=0.9)に掲載されました。
脾臓は体内に入り込んだ細菌(特に莢膜を持つ肺炎球菌など)を捕獲・排除する免疫システムにおいて中心的な役割を果たしています。そのため、解剖学的または機能的に脾臓を失った患者は「脾摘後重症感染症」と呼ばれる非常に致死率の高い敗血症を発症するリスクが高まります。
本症例では、肺炎球菌ワクチン未接種の脾摘後患者において、感染が急速に全身へ波及し、複数領域の重篤な局所感染(髄膜炎・化膿性関節炎・眼内炎)へ至った経過を詳細に記述しました。検出された肺炎球菌は現行のワクチンに含まれない血清型23Bであり、かつ多剤耐性を示したため、治療に難渋する極めて重症な病態を呈しました。
本血清型に対するワクチンの直接的な予防効果については議論が残るものの、本報告は脾摘後患者におけるワクチン接種の意義を再提示するとともに、非ワクチン血清型や耐性菌の発症を考慮した「迅速な診断」および「広域抗菌薬による初期治療」の重要性を強く警鐘するものです。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2214250926002118